成長に応じ管理の主体を子どもに移行
【 1型糖尿病(小児・思春期糖尿病) 】
糖尿病は大人の病気だと思っていませんか? 1型糖尿病は乳幼児にも見られ、多くが15歳までに発症します。新しい治療法などを、寺田町こども診療所(大阪市天王寺区)院長・日本糖尿病学会指導医の青野繁雄さんに聞きました。
■学校の尿糖検査で早期発見が可能に
大人に多い2型糖尿病は、遺伝や生活習慣が主な原因。これに対し1型糖尿病は、自分の体の細胞を攻撃する「自己免疫」によって、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されて起こるといいます。
「多飲・多尿・体重減少が三大症状。以前は、昏睡状態など、重症化してから発見されることも多かったのですが、1992年から学校検診に尿糖検査が導入され、無症状段階での早期発見が可能に。それによって、発見後の入院期間は短縮し、早期の学校復帰ができるようになりました」
治療法や製剤も飛躍的に進歩しているとか。
「現在は、ペン型の注射器で1日4回インスリンを注入する強化インスリン療法が主流。超即効型や24時間効果が持続する持効型製剤の開発で、血糖コントロールが比較的容易になりました。最近では、小型の携帯用注入ポンプで、超即効型インスリンを皮下に持続注入し、食事ごとに必要な量をボタンひとつで追加できる方法が普及。注入ラインは約3日間交換不要で、チューブをはずしてキャップをすれば、入浴や水泳も大丈夫。生活スケジュールの変化にも柔軟に対応でき、血糖値に合わせた、細やかな調整が可能です」
■血糖コントロールで合併症を予防
低血糖症や網膜症、腎障害といった合併症を予防するには、良好な血糖コントロールが重要。適切な食事療法は欠かせません。
「ここ数年で食事療法の考え方にも変化が。従来のカロリー主体の計算ではなく、血糖値上昇に直接かかわる炭水化物の量に対してインスリンの量を調節する、カーボカウンティングという考え方が取り入れられるようになり、食事制限がかなり緩和されました。とはいえ、血糖コントロールが難しくなるので、肥満は禁物。適度な運動で適正体重を心がけてください」
成長の段階に応じ、管理の主体を親から子ども自身に移行していくことも大切。「一度任せたら信頼し、うるさく口を出さないこと。親は援助者として見守り、子どもが自信を持って前向きに取り組めるよう、サポートしてあげましょう」
(医療ライター・山内由佳里)